副業をしたいと考えている人は多いのですが、副業を禁止する会社は全体の7割以上です。
副業・兼業が許可されている会社もありますが、ほぼ大企業で占められています。
副業はそもそも就業時間以外で行うのに、どうして禁止されるのか納得いかないですよね。
もしかしたら副業禁止自体(会社側)は、「法律違反なのかも・・・」って思う人も多いです。
法律違反について実際の判例も交えて解説します。知らないと困ったことになります!
fa-checkこの記事の信頼性
あまり会社に迷惑がかかる副業の仕方をすると最悪懲戒処分が下ることもあります。
しかし、本業に重大な悪影響を及ぼしていないと認められた場合は、懲戒解雇になったとしても解雇が無効になったという判例もあります。
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副業禁止は法律違反にならないの ?
まず、副業は法律用語ではありませんし、副業を禁止する法律もありません。
関連法律
- 日本国民憲法の第22条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」
- 日本国憲法第 27条1項「全て国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」
このように日本国憲法第27条1項で「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」とあり、働くことの権利と義務であることが定められています。
なお、労働基準法などの労働関連法規にも副業について書かれている項目はありません。
また、日本国民憲法の第22条では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定されています。
もちろん、ここには副業も含まれます。
本業以外で収入を得ることを副業といわれていますが、明確な定義があるわけではありません。
どの程度を副業ととらえるかは、あなたの勤めている会社の判断によるのです。
通常は就業規則に副業可否が記載があります。
就業規則について
- 常時 10 人以上が就労する会社の使用者は必ず就業規則を作成が義務。
- 就業規則には就業時間や休日、給与関連、退職時の規定など、会社の秩序を維持し円滑に業務が行えるルールが記載されている。
- 就業規則に副業について書かかれている。
あなたの会社に就業規則はありますか。
就業規則の中に副業禁止事項がある場合は、副業の規模によっては最悪懲戒処分がなされる場合もあります。
厚労省が令和 2 年 9 月に改定した副業・兼業に関するガイドライン内で、以下の場合会社は副業・兼業を禁止または制限することができると記されています。
副業・兼業に関するガイドライン
例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるとされた場合としては
① 労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
今後、副業や兼業を許可する企業が増えてくることが想像できます。
しかし、あくまで本業の会社に悪影響を及ぼさないよう、労働者側のモラルも必要になってくるでしょう。
副業した人を解雇して認められなかった判例
では、副業した人をどんな場合でも会社は懲戒解雇にできるのでしょうか。
それは違います。本業への影響がないと認められたものに関しては、解雇が無効になる場合もあります。
東京都私立大学教授事件 ( 平成 20 年 12 月 5 日 )
【概要】
教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。【判決抜粋】
兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である。
十和田運輸事件 ( 平成 13 年 6 月 5 日 )
【概要】
運送会社の運転手が年に1、2回の貨物運送のアルバイトをしたことを理由とする解雇に関して、職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまでいうことはできないため、解雇無効とした事案。【判決抜粋】
原告らが行った本件アルバイト行為の回数が年に1、2回の程度の限りで認められるにすぎないことに、証拠及び弁論の全趣旨を併せ考えれば、原告らのこのような行為によって被告の業務に具体的に支障を来したことはなかったこと、原告らは自らのこのような行為について会社が許可、あるいは少なくとも黙認しているとの認識を有していたことが認められるから、原告らが職務専念義務に違反し、あるいは、被告との間の信頼関係を破壊したとまでいうことはできない。
判例まとめ
- 副業を休日や業務時間外の夜間を行い、本業へ支障が出ない場合は解雇は無効です。
- 年に1,2回などのアルバイトでは、本業への支障は認められないため解雇は無効です。
- 本業への影響がないと認められたものに関しては、解雇が無効になる可能性が高いです。
まとめ
就業規則にもある程度の法的拘束力があります。
副業禁止事項が記載されている場合は、会社からなんらかの処分が下されても法律違反にはなりません。
しかし、どんな場合でも会社は労働者に対して懲戒処分ができるかというとそうではありません。
会社にとって重大な支障を与えていると認められない限り、懲戒処分が無効になる場合が多いです。
副業禁止まとめ
- 副業を禁止する法律はありません
- 就業規則に副業に禁止がある場合は、副業をすることで罰則を受ける可能性があるため、上司・人事に相談してからが安心です
- 過去の裁判の判例より、本業に影響が出ない場合は、解雇等の罰則は無効になる場合があります
しかし最悪、裁判となり、懲戒処分を撤回するために多大な労力がかかる可能性もあるので注意です。
副業や兼業は個人の収入増加や、一つの会社でしか働かないことのデメリットを補う上でも、国はガイドラインや法整備をして促進しています。
近年、大企業を中心に副業・兼業を許可する傾向がありますが、まだまだ副業禁止の会社の方が多いのが現状です。
その理由として、労働者を守るための法律によって会社側が配慮しなければならないことが多く、場合によっては会社側が罰則を受ける可能性もあるからです。
会社側から見れば、現状はまだ副業を手放しで許可できるほど法整備がなされているとはいえません。
本業に影響しない程度に副業する方がいいのかもしれませんね。
会社にバレずにできる副業について解説しています。