- どこまでが副業の範囲なのか
- 法律の面からみても拘束力があるのか
- 副業がバレたら会社をクビになるのか
副業を禁止されている会社の人たちは悩みが多いですね。
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副業とは
副業とはどういうことで、定義があるのでしょうか。
要するに、各々の会社が独自のルールでどこまでを副業と考えるかによって変わってくるものなのです。
とてもあいまいですね。
法律 ( 日本国憲法 )では副業という用語もなければ、あなたが本業以外で収入を得ることを禁止する法律もありません。
また労働基準法、労働契約法などのいわゆる「労働法」でも副業を禁止する項目はなく、日本国憲法第 27 条でも勤労の権利を有しています。
基本的に雇用契約で決められた勤務時間外であれば何をしても自由なはずなのに、副業がなぜいけないのでしょうか。
副業はどうしてダメなのか
副業禁止の理由として会社側があげるのはおよそこの 4 つです。
副業することによって本業に支障が出る可能性
勤務時間外は本来会社による拘束力はありません。
- 夜遅くまで副業をする
- 会社に遅刻する
- 体調を崩して欠勤が多くなる
- 作業効率が下がる
本業に影響を与える可能性が高くなると、会社としては副業を禁止せざるを得ません。
会社としては働いた報酬として給料を出しているので、社員の生産性が落ちることによる業績悪化は避けたいと思うのは普通のことですね。
副業を考えている方への対策方法
- 作業時間や睡眠時間の確保して自分にあったらスタイルで行うことが大事です。
本業の不利益になる可能性
副業が本業と同じ業種の場合、競合することによって本業が不利益を被る可能性があります。
本業の会社の情報を相手側に漏洩した場合、一部上場企業などは株主をはじめとする利害関係者に影響を与える可能性もあるのです。
また本業の取引先や技術に関する情報ややり方などが副業する会社に漏れることで、本業の被る不利益も大きくなります。
そのような状況は会社としては困りますね。
副業を考えている方への対策方法
- 自分が、行っている副業が本業と競合してないか確認する事でリスクが抑えられると思います。
人材流出の可能性
やはり優秀な人材は出て行ってほしくないものです。
副業をすることでヘッドハンティングなど人材流出の可能性があり、人材の流出は技術の流出にもつながるため、本業に専念してほしいという会社の気持ちもわからなくもないですね。
- 副業をする事で本業よりも稼げるなどと理由で辞めてしまう方が居るので会社側としては禁止しています。
- 副業と割り切ってやる事をおすすめします。
企業の信用を失墜させる恐れがある
社員が公序良俗に反する副業をしていた場合、企業のイメージが失墜してしまう恐れがあるんです。
副業の職種に問題はなくとも、社員が違反行為で逮捕された場合も企業は大ダメージを受け、自社のブランドイメージや信用を守るために社員の副業を禁止しているのです。
副業を考えている方への対策方法
- 悪い事や、企業の信用を落とすような行為をしない事です。
- 分かっていると思っていても気づかないうちにって事もあるので気をつけましょう。
法律で副業を禁止されている人も
労働基準法の規律を受ける「労働者」とは会社に勤めている従業員のことをいい、アルバイト、パート、正社員など雇用形態を問われません。
しかし、国家公務員法や地方公務員法の規律を受ける「公務員」は、法律によって原則副業を禁止されています。またその理由もしっかりと法律で明記されています。
(職務に専念する義務)
第101条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。(秘密を守る義務)
第100条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
(営利企業への従事等の制限)
第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第1項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第22条の2第1項第2号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
就業規則と法的効力
就業規則とは、会社独自のルールブックのようなものであり、勤務時間や休日などが書かれています。
労働者が 10 名以上であれば作成と届出が必要になります。
内容はなんでも規則にしてしまっていいわけではなく、労働法をおかさない範囲のものに限られます。
就業規則と雇用契約のちがい
- 就業規則は会社の規則なので、従業員全体に対して一律の決まりがある場合に記載してある
- 雇用契約は会社と一従業員が個別に結ぶものであり、契約内容によって各人違う場合がある
就業規則は会社とそこで働く労働者全体の規則です。
規則で副業禁止と書かれていればそれに違反した場合、会社側が罰則を設けることはできます。
実際、副業禁止にも関わらず副業した労働者と会社側の判例が多くありますが、副業の規模や本業への影響力の大きさによっては会社側に有利な判決が出ています。
以下にあげた判例をみても、本業の会社が著しい不利益を被っていますね。
- 東京貨物社事件 http://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07618.html 同業他社で副業し、勤務先の会社の受注の一部を横流ししていた事件です。懲戒解雇が認められています。
- ナショナルシューズ事件 https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/05257.html 勤務先で要職に就きながら、同業種の小売店を自営し勤務先の仕入れ先から自営店の仕入れも行うなどしていた事件であり、懲戒解雇が認められています。
- ジャムコ立川工場事件 ( 東京地八王子支判平成17・3・16労判893号65頁 ) 体調不良による休職中に自分の会社を立ち上げてしまった事件です。休職手当をもらいながら自営業もしていたことで懲戒解雇が認められています。
会社と相談したくない人には、会社にバレないように副業する方法などを解説しています。一緒にご確認ください。
懲戒処分・解雇になる5つのケースの紹介
上記に書いてある懲戒処分・解雇に繋がる事は何だろうと思う方も居ると思います。
5つのケース
- 労務提供上の支障となる場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 企業の名誉・信用を損なう行為がある場合
- 信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により企業の利益を害する場合
などがあります。
副業を考えている方はこれらの事をしっかりと理解する事が重要になります。
軽い気持ちでしてしまうとあとから取り返しのつかないなどということも起こりかねません。
副業が奨励されている会社もある
世の中には副業禁止の会社ばかりではありません。
まず先駆けとしてロート製薬では 2016 年に会社公認で兼業ができる制度をつくりました。
厚労省が「モデル就業規則」を作成し、政府の働き方改革の提言にあわせて「モデル就業規則」を改訂しました。
それまであった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、新たに「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」としたのです。
その後改定されたモデル就業規則をもとに2018 年 1 月「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表され、そこからぞくぞくと副業や兼業 OKな会社が大手企業を中心として広がってきました。
副業を良しとする会社側のメリットとしては、より優秀な人材を確保できること、より技術や能力を向上して本業にも還元できること、会社の PR 効果などあげられます。
経済的にも余裕が出てきて時間も有効に活用できるなど従業員の満足度を上げることができ、技術や能力のバージョンアップも図れます。
また先進的な会社であるとの PR 効果にもなり、人材の確保にもつながりますので副業禁止としている理由がメリットとなる場合もあるんですね。
まとめ
副業禁止の理由や就業規則にも法的拘束力があることなどを解説しました。
副業には定義がなく就業規則も会社と労働者のルールブックであることから、副業の範囲も曖昧です。
ですが、就業規則には一定の拘束力があるのも確かです。
副業が可能な会社も増えてきましたが、大手企業を中心としたものが多い状況です。
しかし副業のメリットを企業側がアピールすることによってこれからどんどんと副業可能な会社が増えていくと思われます。
副業の方法として
- 副業に関して会社側と相談すること
- または会社に内緒でできる副業を選択すること
内緒でする場合は、確認事項・睡眠時間・作業時間の確保・気をつける事をしっかりとして、自分のペースでする事が重要になってきます。
そして、不安材料を摘んでいくことで、安心して副業できるようになるといいですね。